日本機械工具工業会

平成30年度 日本機械工具工業会賞

技術功績賞
ワンレボリューションスレッドミル「AT-1」の開発 オーエスジー株式会社 
依田智紀

新規性

・従来の製品は右刃右ねじれ溝であったため、工具先端側から切削負荷がかかり、倒れやすいという問題点があった。これを右刃左ねじれ溝にすることで、工具の倒れを大幅に減少したことに新規性がある(特許第4553251号)
・スレッドミルは切削負荷によるビビりが発生しやすい工具である。これを不等分割・不等リード溝を採用することで、ビビりを減少させた点においても新規性がある。(特許第4996694号)




ラジアスカッタ 「DoTwist Ball」 の開発 株式会社タンガロイ
雲井春樹  及川有宇樹  坂内由昌

新規性

 本製品は、インサート底面をカッタの半径方向に傾かせたこと(ツイストクランプテクノロジー)によって、クランプ剛性を向上させ、切削中のインサートの動きを抑制した。
 インサートは、角丸長方形の両面4コーナ仕様で、従来製品と比較して、切れ刃-ねじ穴間の断面積が約2倍となり、強度が大幅に向上した。
大きなインクリネーションをもつ切れ刃により、食いつき衝撃の緩和とスムーズな切りくず排出を両立した。
カッタには、高送りインサートも搭載可能で、幅広いアプリケーションに対応できる。





技術奨励賞
鋼用ハイパーバニシングドリルの開発 株式会社アサヒ工具製作所 
福田勝利

新規性

従来のバニシングドリルはアルミ、鋳鉄向けであった。
鋼材に対してのバニシング加工は不可能とされてきた。
弊社既存のバニシング技術を応用し、食付き部や溝形状を最適化。
鋼へのバニシングに対応した超硬ボディー、コーティングは耐摩耗、耐溶着性に優れるものとした。




耐熱合金加工用サイアロン材種「SX3」の開発 日本特殊陶業株式会社
小村篤史  吉川文博

新規性

 被削材の難削化に伴い更なる長寿命化には耐欠損性と耐摩耗性の双方を向上させる必要があった。この課題に対し従来はβサイアロン粒子のAl固溶量を増やして耐摩耗性を向上させ、結晶粒の微細化で耐欠損性の低下を抑制していた。本開発品は被削材とβサイアロンの反応による脱粒が摩耗進行のメカニズムであることを解明し、①反応性が低いAl-rich結晶相を見出し、制御することで耐摩耗性を向上、②新製法によるβサイアロン粒子の強靭化、針状化促進により耐欠損性を向上させた。結果、耐摩耗性と耐欠損性の両立を高次元で成功させた。




高能率加工用多機能カッタVPXの開発 三菱マテリアル株式会社
神原正史  北嶋 純  坂本千波

新規性

 切れ刃強度のみを重視した縦刃式インサートを採用したカッタは以前より存在していた。ただこれでは多機能性や切れ味を重要視する日本市場では受け入れられない事は明白である。我々は、切れ刃強度を維持しつつ、多機能に使う事が出来るインサート側面形状、ならびに低抵抗を実現するインサートすくい面形状を発明し製品化に成功した。