2026年(第12回) 日本機械工具工業会賞
技術功績大賞
| 「GREEN TAP」の開発 | オーエスジー株式会社 |
| デザインセンタータップ設計開発グループ タップ開発チーム 溝口 哲也 (みぞぐち てつや) |
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新規性
切削タップでめねじを加工するとき、切りくずが発生してトラブルの原因となる。それに対して盛上げタップは塑性変形でめねじを加工するため切りくずが発生せずトラブルが少ない。しかし、盛上げタップはより大きな負荷がかかり発熱するため、熱伝導率の低い材料の加工には不向きだった。そこで、発熱を抑えるために冷却性能に優れ、より大きな負荷に耐えられる盛上げタップの開発に着手した。従来の製法には技術的な制約が多くあったため、より設計自由度を高められる新しい製法を開発し、従来品よりも長寿命、高能率、高精度を達成できるGREEN TAPを開発した。
技術功績賞
| 薄刃チップソー「MA-ステイブルソー」の開発 | 兼房株式会社 |
研究開発部 升 佑太 (ます ゆうた)、営業本部 浅香 慶一 (あさか けいいち)、研究開発部 竹山 顕 (たけやま けん) |
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新規性
・本開発はアルミニウム製品加工ユーザー向けの切断代の低減および材料歩留まり向上を狙ったものである。本製品はアルミニウム切断用チップソー(丸鋸刃)の薄鋸化を目的として、薄鋸化に伴う切削振動、および、臨界回転数の低下という問題を解決した点に特徴がある。・切削振動が生じると、振動が加工面に転写されて加工品質を損なう。臨界回転数が低下すると、推奨回転数での切削ができず、短寿命、凝着による加工品質の悪化、および、生産性の低下という問題が生じる。
| 可視化・監視・分析ソリューション「VIMOA」 | 京セラ株式会社 |
| 機械工具形状開発部 橋本 重孝(はしもと しげたか) | |
新規性
「VIMOA」は、独自開発のセンシングツールを用いて切削加工中の振動を高精度で計測し、加工状態をリアルタイムに可視化・監視・分析するソリューションである。経験や勘をデジタルで可視化し、エビデンスに基づいたものづくりを支援する。独自機構と通信技術により利便性と性能を追及したセンシングツールを開発し、同ツールを用いた改善期間の短縮による生産性向上を可能にした。この高精度デバイスとAIによるスコア処理技術を組み合わせ、量産時の不良撲滅・リコールゼロを目的とした、AI搭載型の加工監視・不具合管理システムを開発した。
| 新刃先交換式ドリル「GDX型」の開発 | 住友電工ハードメタル株式会社 |
デザイン開発部 インサート工具開発グループ 宮川 鉄平(みやがわ てっぺい)、 松原 弘樹(まつばら こうき)、 島本 陽介(しまもと ようすけ) |
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新規性
本開発は金属加工業界向けの穴あけ加工における生産性とコストの改善を狙ったものである。特に中~大径の穴あけではコスト低減のためには刃先交換式ドリルが有効であるが、5L/Dを超えるような深穴加工では安定した加工が困難であった。本製品はホルダに設けられた切りくず排出溝のねじれ角を改善することで、工具剛性を大きく向上した点に特長がある。さらに超硬インサートの形状と配置を改良することで、従来製品では不可能だった工具径の7倍に達する深さの穴あけ加工を可能にした。
| 超硬インサートの代替を可能とするサーメットの開発 | 住友電工ハードメタル株式会社 |
| 合金開発部 合金開発グループ 米田 敦洋(よねだ あつひろ)、松下 ナナ(まつした なな) 北海道住電精密㈱ 技術部 高田 雄都(たかだ ゆうと) |
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新規性
本開発は、鋼旋削仕上げ加工で課題となるサーメットの初期欠損・寿命ばらつきを、コーティング技術/基材表面平滑処理/合金組織(硬質相粒度制御)の改良により改善し、従来サーメットでは不安定となる条件下でも加工安定化を実現することを目的とした。断続加工で耐欠損性を従来サーメット比3倍以上、CVDコーテッド超硬比約90%まで向上させ、超硬仕上げ領域での代替を可能とした。また省タングステン工具としてWC使用量低減にも寄与する。
| 最小径φ8の刃先交換式ガンドリルの開発 | 株式会社タンガロイ |
| 技術本部 切削工具開発部 主任 志鎌 広也(しかま ひろや) | |
新規性
金型や精密部品の深穴加工では、ガンドリルが広く用いられている。近年では、高能率化、長寿命化、環境負荷低減、および超硬使用量削減の観点から、刃先交換式工具への要求が高まっている。しかし、小径ガンドリル工具の刃先交換化は、ボディ剛性や切りくず排出性の確保が難しく、ろう付けガンドリルによる低能率加工が依然として主流であった。
本開発では3つの独自技術によりこれらの課題を解決し、高能率かつ安定した加工を特徴とした、小径刃先交換式ガンドリルを開発した。
| W、Coを9割削減した新材料「STN30」の開発 | 冨士ダイス株式会社 |
| 技術開発本部 材料開発部 佐藤 僚太 (さとう りょうた)、和田 光平 (わだ こうへい) | |
新規性
超硬合金は工業的に広く用いられているが、その原料となるタングステンやコバルトはレアメタルであり、調達先に地域偏在性がある。特にタングステンの調達の多くは中国に依存しており、調達リスクが問題視されてきた。上記リスクの低減を目的として、2023年からタングステン、コバルトの使用量を削減した硬質材料の開発に着手。本開発材料は一般的な超硬合金と比べて、タングステン、コバルトの使用量を9割削減しながらも同等の被加工性、耐摩耗性を示す点に特徴がある。
尚、実際に2025年には中国がタングステンの輸出を規制した。それにより調達が困難なだけでなく、タングステン粉末の価格指標であるAPTの金額も約1年間で約10倍に上昇している(2025年1月337ドル/mtu、2026年5月3,120ドル/mtu)。
| エアスカイビングシステムの開発 | 株式会社 不二越 |
| 工具事業部 工具技術部 精密工具開発 三浦 翔太(みうら しょうた) | |
新規性
本製品は、自動車、自動車部品等の歯車加工方法の一つであるスカイビング加工に使用する工具の寿命の改善を狙ったものである。切削油剤を用いる従来のスカイビング加工から、本開発品であるエアスカイビングシステムとすることで、切りくずの噛みこみ抑制、工具の摩耗抑制が可能となる。本製品は、クーラントを用いない(ドライ加工)に対応可能な切りくず処理の方法、ドライ加工用の工具のコーティングに特徴がある。
| 転削加工用PVD材種MP1200シリーズの開発 | 三菱マテリアル株式会社 |
材料開発室 コーティング開発グループ 高山 新(たかやま しん)、宮下 大(みやした だい)、 齋藤 正典(さいとう まさのり) |
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新規性
本開発では、航空機市場の拡大に伴い加工需要が高まっているNi基合金、チタン合金といった難削材のミーリング加工における長寿命化と高能率化を実現する材種設計を行った。その結果、従来に対してAl量を増加させたAlTiN層と被削材との反応を抑制し凝着による損傷を抑制するAlTiN機能層をnmオーダーで積層した新多積層PVDコーティング「Gene-Tenaxコーティング」を開発し、耐欠損性・耐摩耗性を両立して向上させることに成功した。
| 「IXエポックディープボールエンドミル」の開発 | 株式会社 MOLDINO |
| 野洲工場 開発技術部 開発グループ 居原田 有輝 (いはらだ ゆうき) 野洲工場 製造部 加工技術グループ 田中 寛明 (たなか ひろあき) 成田工場 材料開発部 川添 睦 (かわぞえ むつみ) |
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新規性
60HRC級の焼入れ鋼や粉末ハイス鋼など、高硬度鋼の精密加工においては、従来の超硬工具を用いると切削初期から大きな摩耗やチッピングが発生しやすく、工具寿命が著しく低下するという課題があった。そのため、高価なcBN工具に依存せざるを得ず、工具費の増大が長年の課題となっていた。本工具はこうした課題を解決するために、新開発の次世代超硬合金、高硬度鋼加工に最適化した専用設計の刃形、高品質なコーティングを融合させることで、超硬工具でありながらcBN工具に匹敵もしくは凌駕する水準で長寿命な加工を実現できる。
